MIDORI.so Newsletter:
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![[COLUMN] #248 愛の矛先](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/1b9c0779a0d9e5e95bce80e263df3fdee18218a6-6048x4024.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
米企業Figure AIのヒューマノイドロボットが、200時間の連続稼働を実証したというニュースを見かけた。目標8時間に対しての大偉業。ロボットやAIが人間の仕事を代替するという話は当たり前になってきたなかで、取って代わるどころかそれ以上に働ける日が来るんだ、と悟った。改めて人間が「働く」ことの意味はいったいどこにあるのか。 何のために「働く」のか。このニュースレターの読者は、(きっと)周りの人よりも少し時間をかけてこの問いと向き合い「こたえ」を考えているんじゃないかと思う。私は与えられた指示やマニュアル通りに動く「働き」よりも、よき仲間と一緒に動いた先にある「働くこと」の方が面白い、という私見をここで挙げてみる。前者が単独の動詞であれば、後者は誰かと共にある助動詞的な働き方だ。とにかく働くことが手段ではなく結果にすぎない、そんな状況を日々過ごしたいと願っている。 そしてそれは自分の願いだけでは留まらず、自分の周りの誰かにも同じ状況を楽しんでほしいと思うようになった。そんなふうに考えていると話したら「そんなに考えないと面白くないのか?」と問われたことがある。
「おいで」と声をかけると「ニャ!」と返事をして、まっすぐこちらへ歩いてきた。 十数年前のある日、自宅マンションの前にいた野良とは思えないほどふくよかで、毛並みのきれいなアメリカンショートヘア。それが、その子との出会いだった。 それからというもの、マンションの前や近所の道でよく会うようになった。買い物帰り、植え込みの下で涼んでいたその子は、私を見つけると「ニャ!」と鳴いて駆け寄ってくる。ある日、その姿を追いかけると、向かいのマンションへ入っていった。あ、この子には帰る家があるんだ。あとで飼い主さんと話す機会があり、その子の名前がココちゃんだと知った。
![[COLUMN] #246 本物は、自分を本物だと言わない](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/9450f3fbe0190d5fdb8188a3eff295931f989cd2-5688x3784.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
本物って何だろう?と、ここ半年ほど考えている。 自分にとってはあれが「本物」なのではと、思い返すごとに確信めいてくる姿がある。 宮崎に住む叔父は、家庭菜園と呼ぶには広く、農業と呼ぶには小さい畑を耕し、敷地に生えている木を伐って、食器や家具や、でかすぎる犬小屋を作る。たまにそれらを売りに出す。毎日ブンという愛犬と散歩に出かけ、朝日が昇る海岸を歩いたり、犬と一緒になって急な斜面をよじ登ったりしている。ときどき『月刊漫画ガロ』に載っていそうなイラストも描く。肩書きは無い。でもその姿を思い返すと、私の中に「本物」という言葉が現れるのだ。
![[COLUMN] #245 矜持の居場所](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/41949b01049261606b85952fbe33577f3cc828ef-5828x3878.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
矜持の居場所 お金のために働くことと、働いてお金をもらうこと。 言葉の順序を少し入れ替えただけだが、そのあいだには決定的な断絶があると思う。前者は「お金が目的」であり、後者は「価値の創出が目的」で、お金はその結果として手元に残る対価に過ぎない。
![[COLUMN] #244 ゆめみること](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/95e7f0e6cd063ba316790dadf48a7e4d81f26f8f-1439x959.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
私は小さい頃から、お伽話や不思議な話が大好きだった。遺跡探検番組を食い入るように見て、映画のファンタジーを本気で信じ、授業中は資料集の、神話や伝説について書かれた小さなコラムばかり読んでいた。 生まれつき頭の中がお花畑タイプの人間だ。 20代前半まで、これといった将来の夢はなかった。その夢とは社会的に説明できる「何者か」になることだと思っていて、その何者にもなりたいと思えなかった。
![[COLUMN] #243 トム・ソーヤーのペンキ塗り](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/a3f860fe50072c3749e85f6931df8cdd080c1c5b-6048x4024.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
先日、メディアサーフのポッドキャストに呼んでいただき、堀江くんと話す機会があった。 その中で、13年前くらいに中目黒のMIDORI.soを始めた時のことを振り返り「壁のペンキ塗りしたの懐かしいねえ」という話をした。そこから、表参道の時も、永田町の時も、馬喰横山の時も、壁のペンキ塗りはいつも自分たちでやっていたという話に。業者に頼めば私たちは苦労せず終わる作業を、わざわざ自分たちの手で、何日もかけて塗っていた。 「あれ、黒崎さんのこだわりだったよね」と堀江くんと話した。一緒に手を動かすことで、そこにチームとしての仲間意識が生まれる。そういう狙いがあったんだよね、と。ここまでは、これまでも何度か振り返ってきた話だった。
![[COLUMN] #242 しんでもしなん](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/998bb09c626699dc703f2da1e452f4677a291af7-3131x2083.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
目の前の愛おしき当たり前の日々を零さないよう、僕は毎朝死を想う。 「朝から?重」なんて思うかもしれないが、朝からだ。重いのだ。それと同じように当たり前も重い。 そして眠るときに生を想う。眠れば考えられないからだ。
![[COLUMN] #240 対岸の音楽](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/94e6940a69fc56f9613896eeb580b897f2e2273f-6000x4178.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
「すべての芸術は絶えず音楽の状態に憧れる」 19世紀のイギリスの思想家・美術批評家であるウォルター・ペイターが残した言葉だ。数年前、個人的なプロジェクトとして自分の好きなアーティストをインタビューしてはZineという形で発表していた頃、当時まだデビューしたてだったヒップホップグループDos Monosの荘子itから教えてもらった。 その約1年後、私は突然の思いつきからアートギャラリーで働き始めた。そして、絵画や立体作品など芸術作品に触れれば触れるほど、ウォルター・ペイターの言葉に同意した。
![[COLUMN] #239 「ウフフ」を探して](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/a9b84b8b6658bd0fd86199e2461c47e534353d8d-6048x4024.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
このところ、少し時間があるときは散歩をしてみている。 そうすると、車や電車での移動では目に映ることがないであろう、ほんの些細な街のかけらに目がいくものだ。 穴の空いたフェンスをロープで修理した跡、ハート型にひしゃげた配管、無理やり書き換えられた看板、文字みたいな形をして地面に落ちた糸。
![[COLUMN] #238 点と点をまっすぐ結ぶべからず](https://cdn.sanity.io/images/le7z07rc/staging/e40f78f8e75bc087d8929e4bf032a053895a35cb-6048x4024.jpg?w=3840&q=50&fit=clip&auto=format)
Googleマップは自宅から最寄駅までの道のりを徒歩8分と示している。 僕はこの移動にできるだけ12分以上かけたいと思っており、実際にそうしようとしている。 三度寝してしまった朝や、時間にうるさい人(幸い僕のまわりには少ない)との待ち合わせを控えているとき、襟付きシャツかロンTかを迷いまくった日などは、アラフォーにしては異常に発達している速筋群を生かし、徒歩8分どころか徒走4分で駆け抜けることもある。しかし、そういった緊急時を除いて、1本隣の路地に入ってみたり、ときどき立ち止まったり、帰りなどは家の前を通り過ぎてみたりして、できるだけ自宅と駅を最短距離で結ばないようにしている。 目的地まで最短で向かうことは合理的で正しいとされるが、それに終始していると、こじれた僕の自意識は「移動している」のではなく「移動させられている」と感じはじめる。 大袈裟に言うと、ミシェル・フーコーがいう社会や規律に管理される「従順な身体」へ自分を差し出しているような感覚になってしまうのだ(モチロンだいぶ大袈裟に言うてる)。