COLUMN #209 MIDORI.soのいろ

緑が好きだ。植物の緑も、錆びついた緑も、染め上げられた緑も、ぜんぶ好きだ。緑色のソーダ瓶に一輪の花を挿し、苔のような緑色の釉薬が塗られた焼き物で水を呑む。朝起きて一番に見るカーテンも、履くズボンも、かばんも、僕の日常にはあちこちに緑がある。何が僕を緑好きにしたのだろう。森のように広く感じていた幼稚園の庭で、心ゆくまで遊び、作り、駆け回った思い出。淡々と山を登り続けた、いままでの記憶。
それほどに緑が好きだから、やはりMIDORI.so Nakameguroの蔦の這う外観は印象深かった。雑誌で目にしたのをきっかけに訪れた、自分にとってもはじめてのMIDORI.soだ。
それから程なくして、MIRAI INSTITUTEに連絡を取った。MIDORI.soで「働く」を考えたいという願いが汲み取られ、幸運にも学生インターンとして採用してもらうことになった。もうすぐ5か月ほどになる。仕事柄、永田町にいることが多い。永田町の2階のエンゲージメントスペースの運営業務をしているからだ。
永田町で作業したいときに使う窓際の机は、オレンジ色をしている。発色の強いペンキのような色は、MIRAI INSTITUTEが出版した『We Work HERE:東京の新しい働き方100』という書籍にも使われている。MIDORI.soの持つ革新性や自律性を思わせる色だ。
最近はMIDORI.so Nihonbashiを題材にしたタブロイドの取材執筆もしていることから、日本橋に取材しに行く機会もあった。日本橋の床はコンクリート打ちっぱなしだ。永田町もそう。コンクリートはペンキとは対照的に、廃れず、雨にも負けない強さを持つ。
MIDORI.soには色がある。ぶつかることを恐れて漂白され、無難に除菌消臭されたような空間や製品が最近は人気だが、ここはノイズがあり、カオスがある。
ラウンジには色とりどりの家具が並び、属性も多様な人が集まるけれど、みんなゆるやかに通じるものを持っている。それがなんなのか、まだ自分にはわからない。
けれどここで感じる色とカオスは、自分の緑の記憶と静かに重なり、これからの時間を形作っていく。MIDORI.soには、まだ見ぬ色がある。その色を、見つけていくのが楽しみだ。
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