COLUMN #207 比べること

Topic: ColumnWritten by motoki takahashi
2025/10/24
207

私はついつい自分と他人を比較してしまいます。SNS全盛の昨今、際限のない比較は不健康だと言われることが多く、完全に同意します。しかし同時に、比較は成長の原動力にもなると私は考えています。そのちょうど良いところ、つまり比較との健康的な付き合い方はどのようなものなのか。これが最近の私の考えごとです。


突然ですが、私の趣味はランニングです。面倒くさいと思うときもありますが、基本的に楽しいです。毎月100kmを走ることにしています。ところが最近、その満足感は向上心に欠けているのではないか?と感じることがありました。それは何気なく見たYouTubeのある動画がきっかけでした。その動画では、元投資銀行勤務のストイックの権化みたいな人のルーティンが紹介されていたのですが、その内容に度肝を抜かれたのです。その人のことをMr.ストイックと呼ぶことにしよう。


Mr.ストイック「毎朝25km走っています」


漫画か? 2.5kmではなく、25km。それも毎日。その生活を何年も続けているという。『巨人の星』や『あしたのジョー』顔負けのスポ根ぶり。しかも25km走った後には働く。まさに超人である。時々10km走って「いやぁ、運動した後のビールは美味しいですなぁ(笑)」と喜んでいる自分は甘いのではないか、追い込みが足りないのではないか、そんなふうに思わされ、アワアワしはじめる。「自分はもっと走らねばならないのだろうか?」


今のところ、そんなストイックになるつもりはありませんが、もう少しだけ走る日を増やし、より規則正しいルーティンにしたいと考えています。唐突に趣味の話をしてしまいましたが、これは比較が良い方向に作用した最近の例でした。というのもここ最近は、SNSで流れてくる他人の生活と自分の生活を比較して、謎に落ち込むことが多かったのです。そのとき決まって思うのが「もっと頑張らねばならないのだろうか?」 比較は、成長の原動力にもなりますが、時には苦しみの原因にもなります。その分かれ道が何なのかを言い当てるのは難しいです。ただ、比較の対象を自分でしっかり選ぶことは一つ大切な点ではないかと考えています。


また、その比較の行為や目的に、楽しさが含まれていたことも大きかったと感じています。今回Mr.ストイックに影響を受け、もう少し頑張ってみようと前向きに思えたのは、ランニングに楽しさが含まれていたからでしょう。やろうとする行為に1ミリでも楽しさが含まれていれば、それは良い方向に進むのではないかと考えています。


などと言いつつ、楽しいことだけやって生きていけるわけでもないので、これはあくまでできる限りの話です。できる限りの楽しさの中に、できる限りのストイックを忍ばせ、この忙しない現代社会をやっていきたいと思います。それでは今日も走ってきます。

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