COLUMN #235 「たばこ」と誰に言ったのか

14時を過ぎたコンビニだった。
近頃のコンビニはだいぶセルフレジが多い。
まばらな客に対して店員は、昼のラッシュで乱れた棚や欠品した商品を補充していた。
(ここのコンビニはホットスナックのコーナーもセルフなんだな)
そう思って何を買おうか迷っていたら、レジの前に立つ男性から「たばこ」と少し大きめな声が聞こえた。「お待たせしました」と小走りでレジへ向かう店員。
よく見る光景。だけどおかしな光景。
家父長制の省略的振る舞いなのかもしれないし、単なる慣れ的なものなのかもしれないし、やっぱり「お客様は神様です」という昭和のフレーズでいつの間にか肥大化されたお客様像なのかもしれない。
けど、もしかしたら。
……疲れているからではないだろうか。
そうだ、私も「いらっしゃいませ」の挨拶に目を合わせて「こんにちは」と返していない。
「レジ袋は要りますか?」に、ヘッドフォンを少しずらして「結構です」とお伝えし「クレジットカードで」と言ってヘッドフォンを耳に戻す。最後に少しばかり「ありがとうございました」とだけ伝えて、それが聞こえていたのかさえわからないけど足早に去る。
「たばこ」
怒鳴っているようにも聞こえた。
でももしかしたら、疲れて人に配慮できない状態だったようにも思えてくる。
この世は疲れすぎている。
それは言い過ぎかもしれないが、どんなに好きなことをやっていても人は疲れる。
うまくリフレッシュできる人もいるかもしれないが、自分の疲労に気づかず、家にも会社にも持ち帰れなくて、疲労が都市にポツポツと転がっている気もしなくはない。
そしたらさ、支え合うなんて互いが影響し合うことじゃなくてさ、応援するってどうだろうか。
応援した結果なんて知らない関係性だからこそ、届けてもいいような気がする。
無関係な人が応援し、関係する人が手を繋ぐ社会。
それが疲労の落ちた14時のコンビニで感じたことだった。
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