COLUMN #72 happy new year!

Topic: ColumnWritten by yoshitaka shimura
2023/1/13
happy new year!

2023年、最初のコラムも志村不動産で宜しくお願いします。「新しい戦前」というキーワードが気になって。たしかに、祖父の経験談や、主に小学校での授業、テレビなどから学ぶ戦時中、または戦後のいろいろなことには触れる機会があったけれども。戦前の話などは、経験した人の話を聞く機会などはそもそも無いはずだし、ぼんやりとでも、その頃の情景が浮かんで来ることもないなあと思った。具体的には、各国の防衛費が増してるということなのかもしれないが。この「防衛」という言葉、英語ではディフェンスと呼ぶけど、守るための必要経費ということのようだが、要するに軍備を整えているということであって。相手が手をだしてきそうだから、こちらも手をだす準備をしてるということ。でも、相手に手を出すほどのことを相手が自分にしてきたのか、この判断基準はきわめて曖昧で、何をもって防衛と呼ぶか、何をして攻撃とされるか、それはそれは、ぼんやりとしてるなあと思った。

この戦前とはいつのことなのか、自分にとって最も身近な戦争は第二次世界大戦であるので、単純に第一次世界大戦と二次大戦の間の期間なのかなあと勝手に想像して決めつけている。それは大正中期から昭和初期になるだろう。大正デモクラシー、マイノリティの地位向上、コンプライアンス問題浮上、関東大震災やスペイン風邪の流行、自由恋愛、理想主義、社会主義運動、和モダンなどを連想した。

実は、このコラムを読んでくれている人たちの感覚から、少しでも、現在との類似点を感じてほしいと思って、それらしいキーワードをあざとく並べてみたが、そういう意味では、偏った見え方を故意に促しているのかもしれないが、「新しい戦前」と言い切ってしまうのが、なぜかタブーのようにも思えて、大声で堂々と言えないような気にもなってくる。

戦争はとても悲惨だから、絶対に繰り返してはいけないということは、重々承知している。でも、戦争へと、もつれこむ予兆というか、波にのまれる前の気づきをどれだけ拾うことができるのか、ひょっとしたらその波は気付かないうちに目の前に迫っていて、気が付いた頃には、もう、波にもまれるしか無いということになってしまう可能性がある。

西部戦線異状なし、いやいや、戦線があることが、そもそも異常でしょって、突っ込みたくなるタイトルだけど、最近、リメイクされたので改めて観てみた。第一次大戦と第二次大戦とでは、各国の目的も、状況も、敵も味方も異なっている。

時が流れれば、同じチームであっても、置かれる状況も違い、メンバーの思想も異なっていく。エイブラハム・リンカーン(共和党)は奴隷解放に努力した。その思想と行動は、当時、最先端のリベラルだったはず。ただ、自分の知る限り、リベラルとは民主党側の代名詞であるように思える。僕が渡米した時はまさにオバマ大統領が誕生した時期だった。でも、最近よく考えることが、このリベラル、そのうちまた共和党側に移るんじゃないかと。

日本にも、勝てば官軍、負ければ賊軍という風習があるけれど、要するに、勝った方が支持されるということだ。でも、勝てると思っていた側が、実は負ける方に分類されているとしたら。この予兆を感じ取れなかった場合、気が付いた時にはビッグウェイブがすぐそこまで迫り、その波にもまれるしかない。

2010年、2年間のLA生活から帰国。お金が無くなって、これ以上、継続ができなくなった。その直前に父が遊びに来た。父は産業系の会社を経営していて、本社はアメリカにある、なので日本支社の社長だった。そんな父が、そろそろ引退すると言い出した。僕はこんな風に感じた。今まで僕を食べさせてくれたのも、学校に通えたのも父がその会社を真面目に継続してくれていたからであって、それを誰か見知らぬ人に引き継がれるというのが腑に落ちなかった。今なら英語も少しできるし、僕がその会社を引き継ぐことができないかって相談しようと思った。本音をいうと、渡米したもののはっきりした仕事にもつけなく、将来への不安がいっぱいだった。藁にもすがる思いで、父のすねをおもいっきりかじろうと画策した。

ということで、僕は現在、不動産仲介業を副業として、本業は産業系の仕事をしている。この10年ほど地方の工場地帯を足しげく訪問するということを繰り返している。東京で育ち、ロスに渡り、音楽やアートなどに興味を持って生きてきた。そういった雰囲気と全く違う世界が国内にもある、そういう気分になった。でも、どっちかというと、自分側の方がマイノリティであって、あっち側が多数派なのかなとも感じた。

同時に、今まで一緒に活動していたみんなとの距離が遠くなり、疎外感を感じていた。そんなか、ジェフ・マクフェトリッジはメールでこう書いてくれた「君は2つの価値観を行き来してるようだ」

僕は今までどちらか一方にどっぷりと浸かったことは無い。あっちに片足を突っ込みながら、こっちにも来て、そんなことを繰り返してきたのかなと思った。コラムをいつまで書かせてくれるのか、そして、これをいつまで読んでくれる人がいるのか分からないけれど、志村不動産の誕生からMIDORI.soメンバーになるまでをなるべく赤裸々に書いていきたいと思う。しかし、今回はひどく脱線してしまった。

つづく

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