COLUMN #3 good place

漫画「ちびまる子ちゃん」の作者であるさくらももこが生きていたら、MIDORI.soの日々の出来事を、彼女の独特な世界観とユーモアある視点で描いてもらいたかったと願ったことがある。メンバーと同じようにデスクで仕事をし、仕事の合間にラウンジで一緒にランチを食べたり、コーヒーを飲んだり、時々夜にビールを飲み交わしたりしながら、MIDORI.soの日常を観察してもらう。それを漫画に落とし込んでくれたら、どんな仕上がりになったのであろうか。そんな妄想を繰り広げると顔がほころんでしまうが、それは叶わぬ夢である。
MIDORI.soでコミュニティ・オーガナイザーとして働くうちに、いつしか自論が出来上がっていった。それは、さくらももこが描く漫画のような世界観を感じられる場所は「いい空間」であるということ。「ちびまる子ちゃん」と言えば、主人公・まる子と個性の強い周りのキャラクターが織りなす日々の中で、まる子が一喜一憂したり、最後はトホホとなるようなオチがあったり。兎にも角にも、どんだけクセが強いのと言いたくなるほど、それぞれの個性が際立っている。そして、回を追うごとに段々とそれぞれのキャラクターに愛着が沸き「なんかいい世界だなあ」と思えてくる。それは、MIDORI.soでも同じことが言えると思っている。
MIDORI.soでメンバーとコミュニケーションを取っていくうちに、自ずと自分の中に相手の言動がインプットされていく。例えば、コーヒーを淹れるときは、必ずミルクを入れ、蜂蜜のチューブをクルクルと両手でコーヒーに回し入れるお茶目なグラフィックデザイナー、筋肉のためにとお昼は鶏肉のササミしか食べないストイックで釣りが大好きなインテリアデザイナー、夕方になれば近くのコンビニで買って来たヱビスビールを片手に誰かと話しながらゆるりと仕事をするイベントプロデューサー、など。あげればきりがないが、それぞれの趣味嗜好によって築き上げられた言動を自分の中に取り入れ積み重ねていくと、それが相手の個性として確立されていく。その個の点がどんどんと集まり、集合体となり、いつの間にか豊かなキャラクターたちが作り出す世界が目の前に広がっていく。「この世界をさくらももこが描いてくれたら、きっと面白いだろうな」と思えたときは、私にとって「いい場所」なのである。もちろんMIDORI.soでなくても、あなたの職場でも学校でも、よく行くバーやカフェでもどこでもいい。そこにいる人々とコミュニケーションをし、相手を知り、そしてそれぞれの個性が集まっていけば、自分の目の前に広がる世界は格別に変わっていき、「いい場所」と思えるはず。
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