COLUMN #186 生態系

Topic: ColumnWritten by Masatoshi Sawa
2025/5/23
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コンサルタントとして働くメンバーに、普段クライアントにアドバイスする中で大事にしている考え方を聞きました。1時間ほど話した中で「企業やチームは生態系」という表現がとても素敵だと感じました。そう感じた理由として2点。1つ目は、我々の職場であるMIDORI.soも「生態系」という言葉が当てはまると思い、この表現の深さを感じたこと。2つ目は、最近たまたま「土」に興味を持ち始め、自然の中の生態系や循環について考えていたからです。


まず、MIDORI.soは各拠点によってそれぞれの個性があり意図せず生態系が生まれます。この個性の要因は、箱なのか、家具なのか、コミュニティオーガナイザーなのか……人によってその拠点らしさの基準は違うと思いますが、圧倒的にメンバーという存在が生態系を成す要素のほとんどを占めていると思います。運営が何かを意図してコントロールしようとしても、コントロールできない部分があり、なるようになる様がまさに生態系です。


そして土を調べていた事で思ったことは、栄養になるものが実は社会において要らないものとされていることです。例えば作物を育てるために肥料などの栄養が必要となります。その肥料は海外からリンやカリウムなどを仕入れていますが、本来は輸入せずとも自然の中にあるものでした。動物の糞や死骸がまさにそれです。都市部において「動物の糞」などは、「ゴミ(廃棄物)」と扱われてしまい処分されていますが、自然の中にはゴミという概念がないのです。全てが土に還り、循環されるのです。


そして、このふたつの共通点から、現代社会においても「本来必要であるはずのものがなくなっているのでは?」とふと思いました。


例えば、サービス業において普通は、便利な設備や機器の設置やオペレーションをオートメーション化する事で、合理化・コスト削減を図りますが、それは考え方によっては社会という生態系の循環を無視したものかもしれません。


ざっくりとした比喩ですが、対面のコミュニケーションを光合成と仮定します。コーヒーマシンや近所のコーヒーショップで購入するのではなく、ハンドドリップで淹れて人に振る舞えばそこから会話などの「新しい何か」がもしかしたら芽吹くかもしれません。そして、その芽吹はコミュニティーという生態系を豊かにしてくれるはずです。


もちろん、合理化の全てがダメだとは思いませんが、ゴミと思って決めつけていた事が実は大事なものの可能性があるかもしれません。それは組織やコミュニティーに留まらず、いろいろなことに当てはまるかもしれません。


自分をとして考えるのではなく、草木など自然の一部と考えてみてくだい。予期しない繋がりに生かされ、思いもよらない出来事が栄養と思える瞬間が出てくるかもしれません。また、MIDORI.soがメンバーにとってそういう好機が溢れた場所であれたらと願います。

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