INTERVIEW case#8 WE Collaborate Here "諦めず愛情を注いであげること"

学校でも学んだことのなかったインテリアの領域。そこに飛び込み、現在フリーのインテリアデザイナーとして働くみどり荘表参道メンバー・馬場佑子さんインタビュー
[ Interview / Text / Photo]
[ Edit ] Miho Koshiba
2018.08.12
「今は鎌倉のジェラート屋さんと恵比寿のバーのお仕事が動いていて、あとは六本木のちょっと大きめのカフェのお手伝いをすることになっています。今から自分の作品を作っていくという感じで、独立したのは2017年なんです」
兵庫県出身、四年生大学を卒業し、初めての仕事は家具屋さんでの接客だった。
馬場「(その家具屋では)設計事務所もやっていたので、少し手伝ってみたら、内装設計の仕事って面白いなって思ったんです。ある時、よく買いに来てくれていた設計事務所のお客さんが『うちで手伝えば?』と声を掛けてくれて、図面と三スケ(※三角スケール)を渡されて、そこから始まった感じです(笑)。デザインの学校も出ていなかったし、現場に行って職人さんがやっているのを見たり、ちょっと話をしたり、何もわからないまま打ち合わせに付いて行ったり。日々勉強して学んでいきましたね」
自分の好奇心と、ふとした出会いが結びつき、設計事務所に入ることになった馬場さん。そこでの叩き上げられた約4年の月日が彼女のインテリアデザイナーとしての道のベースとなっていく。
馬場「私、図面が書けないので、書けないとお客さんには正直に伝えています。図面を書ける人にお願いをすることで、自分の手元に残るお金は減りますが、その分自分のやるべきことができる」
馬場「男社会ですよね。本当に男のしかいなくて嫌になる時もある。でもみんな対等に話してくれるし、やりやすい。私自身、女の子に指示を出したりするのにすごい気を遣うから(笑)。 異性の方がいい。おじちゃんとはいいバランスで、向こうも言ってくれるし、こっちも言える。居心地がいいかもと。たまには可愛い女の子とお仕事したいと思いますけどね」
-なぜ独立しようと思ったのか?
馬場「性格的に自由すぎるというのもあって。自分で責任を取りたかったんです。人に言われて思ってもない交渉をしたり、相手に言いたくないことを言ったり。自分で決断して、自分で責任を取れる。そのほうがいいものが作れるし、いいかなって」
馬場「自分の作品の一つとして、スナックを手がけました(笑)。知り合いが紹介してくれて、本当に横の繋がりでですね。飛び込み営業とかできないタイプなんで。ちょっとずつ一個一個作って、こういうことできるってなって、人が繋げてくれてお仕事をもらっています」

-みどり荘に入ったきっかけは?
馬場「事務所を探している時に知り合いが紹介してくれて。フラットな雰囲気で、いろんな人がいていいなって。もともと家具屋で働いていた頃のお客さんであったメンバーのジョンさんもいて、ここにしよう!と思いました。そして、このガヤガヤ感がいいです」
-仕事をする上で大切にしていることは?
馬場「諦めず愛情を注いであげることですね。相手のために自分ができることを最大限に。例えばたくさんの素材について知っておくとか。引き出しをたくさん用意しておくことかな。引き出しがないと途中でいいやってなるかもしれない、だから、引き出しを日々増やすようにしています。街を歩きながらいろんな素材に目を向けたり。たまに、考えすぎて電車を乗り過ごしてしまうこともあるんです(笑)」
日頃の物静かな彼女からは想像がつかない仕事への愛。そんな馬場さんにとって「働く」とは一体なんなのだろうか。

馬場「安定剤みたいなもの。仕事をしていないと落ち着かない。逆に休日はぼーっとしています。一生この仕事をやっていこうと決めているから、もちろん焦る時もあるけれど、焦らずコツコツやっていこうって。これからはいろんなアーカイブを作っていきたいです。海外の案件やホテルとかも。だから、やりたいことがあったら口に出すようにしています。そうすると何か現実になることもある。言霊って本当にあると思うから」
Yuko Baba
Interior Designer 1982年兵庫県出身。都内家具屋、設計事務所を経て2017年に独立。店舗や展示会場等の設計デザイン、ウィンドウディスプレイや家具のコーディネートまで、空間に関わる業務を行う。
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