COLUMN #98 My BEST McDonald's

My BEST McDonald's
ヨーロッパ旅行からの帰り道。北京での乗り継ぎ便に乗ったら、アムステルダムからの飛行機が2時間遅延して、結局私は1日北京市内に滞在することになった。いったいここがどこだか具体的に分からないが、今私は北京国際空港から車で40分ほど離れたホテルにいる。
滞在するつもりが微塵もなかったため、事前情報がほとんどなくWi-FiはつながれどiPhoneに入っているアプリのほとんどが使用できない。。市内に着いて夕飯でも取ろうと思って街に散策に出た。とにかく人が多い。だが外国人は誰もいない。レストランを覗くと、見たこともない鉄板をテーブルに置いて、思うままに肉を焼いて家族で頬張る人々の光景。路面に椅子を出して、いかにも辛そうな海鮮料理や、じゃがいもがゴロゴロ入った炒め物をビールを飲みながら食べている人。どこもあふれんばかりの料理で、とにかくおいしそう...10日間ヨーロッパを旅していた私は、アジアフードに飢えていた。帰国できずに落胆したものの、中国を楽しめるチャンス到来とばかりに屋台を目指した。
ところが、あろうことか空港で現金を交換し忘れ、何十件とある飲食店で「クレジットカード使えますか?」と聞いても(英語も使えないので基本的にジェスチャー)「WeChatなら使える」とQRコードを指差される。ここもダメ、あそこもダメ。路面店、高級店、フランチャイズ店、仕舞いには吉野家やコンビニまで。聞くこと1時間、なにも食べられない。丁寧に接客してくれたアルバイトの若いスタッフが、すまなそうに片言で「Welcome to China」と。。この「中国へようこそ!」という言葉が私には皮肉に聞こえるくらい、お腹が空いていた。
結局最後に辿り着いたのはマクドナルド。ジェスチャーをしながらようやく理解してくれてカード支払いができた。やっと夕飯にありつけた...もちろん、空腹もあいまって人生で一番おいしいマクドナルドとなった。
こうして海外にでてみると「カルチャー」のレイヤーが一段は堀下がる。。「等価交換」の方法自体がカルチャーであるし、情報収集の仕方もカルチャー。もっと言えば、運転のマナーや横断歩道の渡り方まで、カルチャーが端々にある。たかだか夕飯を食べるだけでこんなにサバイバルな状況になるとは思わなかった。3年ぶりの海外で、久しぶりに普段の当たり前が当たり前じゃないことを目の当たりにした。さて、北京国際空港の定刻運航率は20%らしい。これもカルチャーか...ひとまず、明日帰国できることを願うばかりだ。
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