COLUMN #81 Depend on you

Topic: ColumnWritten by sayoko kawai
2023/3/17
Depend on you

MIDORI.so Bakuroyokoyamaではアップサイクルを大きなコンセプトに掲げていて、屋上ではガーデンを作るプロジェクトがスタートした。そんな中、静岡県浜松市で活動している空間デザイナーの松本憲くんを紹介されたのは、一昨年の秋である。松本くんは、捨てられているガラクタや廃材などを使い「そんな発想ないな。」というようなものを創り出す。拡声器でできた花瓶、釣竿でつくった照明。彼の作品をはじめてみせてもらったときに思わず「わあ!」っと声がもれてしまうような、一つ一つの造形がワクワクするものばかりだった。

私と同い年なのにとにもかくにも無邪気。一緒に打ち合わせをしていても、「これ、かわいいなぁ。」とその場で机を観察したり、花瓶を眺めたり。

夏には、プロジェクトの一貫で馬喰横山の商店街を歩き、街の人たちのいらないもので屋上ガーデンに使うものを集めた。元気に挨拶をして、お店の中に通してもらう松本くん。洋服の卸問屋さんからは使わなくなったハンガー、建築関係の出版社では、たくさんの建材のサンプルをいただく。お隣の奉仕会館の方に倉庫に案内してもらった時は、倉庫の中のさらに奥の「え、そこに入っても大丈夫?」というところまでどんどん入っていく。掘り出したのはブラウン管のテレビや、壊れた机。奉仕会館の方も「こんなのあったんだ。」と驚いていた。

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奉仕会館での様子。コミュニティオーガナイザーの小島くんが手前で倒れそうなタンスをおさえてその先に私がいて、さらに奥に松本くんがいる。



集めたこのガラクタはいったいどうなるんだろう?
廃材が生まれ変わる日を楽しみに待つ。

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施工前日に松本くんから電話がかかってくる。
「息子がコロナになってしまった。」
そりゃ大変だ。リスケをする。
そしてリスケとなった日にまた電話がかかってきた。
「今、浜松から向かっている途中なんだけど、車が故障して、JAFを呼んでいるところで。。。」
なんてこった。またリスケをする。

そうして秋を通り過ぎ、季節は冬に。リスケにリスケを重ねまた連絡がくる。
「大雪の影響で、資材が届かなくて。。。」
なにかあるとは思っていたけれど、そこかぁ。。。

こうして一通りの不可抗力を経験したMIDORI.so Bakuroyokoyamaの屋上ガーデンは当初の予定より大幅に遅れ、2023218日に完成した。

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仕事において納期を気にしすぎて「納める」ことばかりを優先してしまいがちな私だったが、仕事を楽しみながらいいものを作ることがまずは重要だったな、と振り返って思う。

「実録!良質なカオス」的な現場で改めて学んだことであった。

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松本くんの作品
馬喰横山だけではなく、全国から集まった廃材がユニークな形で点在している。農業用のタンクや雨水タンクの机は夜になるとライトアップされる。炊飯器やカートでつくった植木鉢に花が咲くのが楽しみである。

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