COLUMN #66 you have the power

2011年3月11日、ちょうど中学の先輩たちの卒業を見送っていたあの日、円を描くような大きい揺れを感じた。大きな揺れのあと、言われるがままに両親、姉、認知症の祖母と、近所のおばあさんを車に乗せて高台へと逃げる準備をする中、当時中学生だった私は、あまり事の大きさを理解できないまま、「何か大変なことが起きている」と戸惑いながらも、なぜか不思議に、不気味な安堵と期待感を覚えていた。元の生活に戻ることよりも、何かが大きく変わることを期待していたのではないかと思う。
震災の経験から国際協力に興味を持ち、大学では国際関係論について学んだ。進路は漠然とNPOへの就職を考えており、社会的立場の弱い人々をエンパワーするための働きに興味を持っていた。大学に入り、ボランティアサークルに入った。主な活動は、途上国の家のない家庭に、現地の人々と家を建てることだった。しかし、その活動に参加すること自体に、個人にかかる費用は十数万円。奨学金とアルバイト代で生活を工面する学生の私たちにとってはかなり高いハードルに違和感を覚えた。
価値のある働きに、具体的な対価が与えられる社会を実現したい。社会にとって良い働きをしたいと思う人たち、自分自身が何かに挑戦したいと思った時に、環境に左右されず挑戦できる社会を実現したい。そういうことを仕事に出来たら、と思うようになった。
そういう思いから、最初はソーシャルビジネスに興味を持った。一方的な「支援」ではなく、持続可能なシステムの中で、社会課題を解決する働きに可能性を感じ、そういった事業に取り組んでいるところで働きたい、と思っていた。
けれども、いざエントリーシートを書こうとすると何も書けない。そこで働くイメージが湧かない。周りの学生と比べて履歴書にかけるスキルやエピソードが圧倒的に少ない中、自分は何ができるのだろうという思いが焦りと共に溜まっていった。辻褄が合うように、受かるための志望動機を書く中で、本当は何がしたかったのだっけ?
就活時期、ちょうどコロナによって社会全体としてこれまでの「働き方」を変化せざるを得なくなったタイミングで、これからの社会に求められる人材とは?というトピックが盛んに議論されていた。「社会の変化に対して柔軟に対応できる力」や「挑戦する環境に自ら飛び込める力」などなど。中でも、「自ら何かを生み出すことのできる力」を自分のものとしたい、その力を自分のものとすることができたら、本当にやりたいことが実現できるのではないか、と思った。
自分が目指す社会は、自分自身で創り出す。今、web3という中央のない新しい仕組みや世界観の知り、web3の人たちがリアルに集えるコミュニティづくりを始めた。自分自身で創り出す可能性にワクワクしている。その方法を模索しながら、壁にぶつかりながら、まさに今、挑戦の真っ最中にある。
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