COLUMN #217 未来地図

「傷跡はあなたの羽になる」
2025年、繰り返し聞いていた歌詞の一節だ。
ポジティブすぎず、慰めるだけでもなく、過去を肯定し未来に繋げてくれるようで何度も奮い立たせてくれた。悩みや過去の痛みを傷のまま抱え続けてしまう人もいるし、傷ついていることを認識すらしない人もいる。
私自身、向き合わなければならない過去の体験を少しずつ整理してきた1年だった。
そんな中で、力強く未来を描く人たちと出会うとその人が強くなった理由を知りたくなる。
それは自己にとって強烈なコンプレックスであったり、記憶のさらに奥深くにあるトラウマであったり、逃れられない家系によるものであったり。
他人から見たら羨ましくてもその人にとっては深刻なこともあって、重要なのは体験の大小や内容ではなく捉え方とその深度なのだと思う。
再現性がないことが再現性で、向き合い方もそれぞれ異なるけれど、話してくれるときの手繰り寄せるような表情や、深さを湛える姿が好きだ。
彼女ら、彼らを見ていると、昆虫みたいだなとふと思う。
ぐずぐずに溶ける程の衝撃を経て、最適な形へと尖らせ進化していく存在。
ときには天敵のように受け入れられない人もいる。
大切にしている価値観や前提が全く違っていて、姿形は似ているのにここまで違うのかとびっくりすることもある。
一方で、共生関係のように世界線が重なることもある。
それぞれに補い合い、強固になり、次の進化へと導いてくれる。
私にとって良質なカオスとは、たくさんの昆虫がひしめくジャングルのような場所だ。個々は異なっていても、全体が一つのエコシステムとなり影響を及ぼしあいながら存続していく。
混沌としていて、それでいて保たれている、正に豊かな緑。
静謐な夜も、眩しく迎える朝も、多くの景色をここから見てきた。
これから出会うもっと大きな困難は、きっと次の羽化に繋がっていく。
未知への怖さと期待を抱えながら、偽りのない私たちのままで。
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