COLUMN #169 初心に返ってMIDORI.soとの日々とこれから

Topic: ColumnWritten by shotaro nakai / GREEN FORESTERS
2025/1/17
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あれは2020年の5月頃だったと思う。新しく会社を始めようと思い立ち、いくつかのシェアオフィスを見て回った末に、目に留まったのが「MIDORI.so」だった。永田町という立地のわりに妙に風通しが良く、窓が開いて風を感じられる開放的な空間、ふかふかのソファ、そして「MIDORI.so」という響きの良い名前に心を掴まれた。


そして、MIDORI.soを契約して会社を始めてから、もう5年近くが経つ。森林を再生しようなんて大きな理想を掲げてみたものの、実態は綺麗事だけでは到底やっていけない。山に入るのはいいとして、そこで土地の持ち主や伐採事業者と交渉し、丁寧に対話を重ねていかなければならない。人手も足りない。資金は、いつもあっという間に底をつく。それでもなんとか続けてこられたのは、多分、ひとえに執念だろうと思う。


もっとも、私自身はMIDORI.soにはほとんどいない。関東北部や甲信越を巡って、少しでも植林地を増やそうと動き回る日々。社員たちも皆、地方にいる。だからMIDORI.soでは大抵一人だ。わりとボーっとしていることも多い。それでもいい懐の大きい温度感が心地よいと感じている。都会の真ん中にある空間が、いつの間にか私の心の隠れ家になっていたのかもしれない。


思えば、この5年は理想と現実の折り合いをつける作業の連続だった。綺麗事で終わらせないためには、汗をかいて、泥にまみれるしかない。その一方で、自然は厳しさの中に、絶えず再生への可能性を秘めている。木々は冬になれば落葉し、春にはまた若葉を広げる。会社だって、似たようなものかもしれない。どんなに資金が底をつきそうでも、プロジェクトが失敗しかけても、諦めずに踏ん張れば次の芽が出てくることがある。実際、私たちはそうしてきたし、今もそうあり続けようとしている。


もちろん、常に順風満帆ではない。やりきれない思いを抱えながら、それでも前を向かなきゃいけない瞬間は多い。でも、実際、ここまで来てみて、私は成功を確信している。足元を見失わず、一歩ずつ着実に森へ根を下ろしていけば、必ず花開くときが来る。それが、いまの私の偽らざる実感だ。かつて初めてMIDORI.soに足を踏み入れ、あのふかふかのソファに沈み込んでいた過去の自分とは明らかに異なっている。


成功するには、まだ何倍もの時間も努力が必要だろう。それでも、私にはやるべきことがはっきり見えているし、仲間もいる。MIDORI.soの空間が、どこかで静かに背中を押してくれているとも感じる。この先にどんなトラブルや荒波が待っていても、柔軟に枝を伸ばし、深く根を張るように成長していきたい。いつか、すべての苦労を笑い合える日が来ると確信している。たまには言おう、ありがとう、MIDORI.so


余談ではあるが、今回コミュニティオーガナイザーのエリナ氏からコラムを書いてほしいと依頼があり受けることにした。いつもながらエリナ氏の頼み方は少しが強い。「コラムの締め切りが近いから無理そう」とやんわり断ろうと答えたら「週明けでいいよ」と言われた。それって週末にやらなきゃいけなくなるじゃないかと思いつつ、エリナ氏の圧に断りきれずに受けた。エリナ氏はそういう人だ。が、嫌いではない。むしろちょっと頼まれて嬉しいと思っている自分がいる。む、、この感じ、なんか完全にエリナ氏の術中にはまっている気がする!

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