INTERVIEW case#10 We Collaborate Here "仕事も大事だけれど、それよりもバランス。それが私にとって大切なこと"

Topic: InterviewWritten by Miho KoshibaAt MIDORI.so Nagatacho
2018/9/27
Erina Ho

仕事とプライベート。会社に属しながら、自分自身にとって調子の良いリズムを保ち、仕事をするということ。「ワークライフバランス」という言葉が当たり前の価値観となった昨今ではあるが、どこか不確かでファッション的な言葉として消費されている印象がある。インディペンデントな姿勢、自分自身の働き方をコントロールする精神的な強さ。彼女のワークライフバランスは、まさにその姿勢と精神力の強さによって作り出されているのだと感じた。永田町メンバー、UI / UXデザイナーのErina Hoにインタビュー。


Erina「アメリカでワーキングビザを取るなんて、まるで宝くじに当たるみたいなこと。それにたくさんの申請も必要。そもそも私は日本生まれということもあって、日本のパスポートを持っていた。将来的にニューヨークで仕事ができる保証もないし、どうしようかと考えた時、日本に住んでみようと思った」

日本に移り住んだ後も、彼女はArtsyの仕事をリモートワークしながら続ける。

Erina「ニューヨークと日本だと時差がだいたい20時間も違う。夜中の3時に電話に出なきゃいけないこともあったり。それにいくら日本にいながらニューヨークの人と仕事をしていても、ずっと家の中で一人で働いていた。だから日本で仕事を探そうと思ったの。」

ErinaArtsyのボスが『IDEO』というデザインファームの会社を紹介してくれて、そこで4ヶ月。あとはSHISEIDOでも。どちらもフリーランスとしてね。フリーランスの頃を振り返ると、自分自身のことをマネージメントしなければらないし、そうすると自分がデザイナーであることを忘れてしまう()。それにクリエイティビティな状況になりずらかった」

フリーランスの時代を経て、大学の友人の紹介で現在は古民家やホテルの開発から運営をソフトウェア部門とリノベーション部門、2つの部門で事業展開をする株式会社Kirakuに働くことになる。仕事の領域は、UI / UXデザインに限らずブランディング、インテリアデザイン、ビルドソフトウェアと、多岐に渡る。

Erina「とにかく会社(Kiraku)がとても若い。社長は30歳でチームは5人のみ。もともとはテクノロジーの会社として始まり、ホテル運営に必要なソフトウェア開発や資産管理をしていた。私の最初の仕事は基本UI / UXのデザインだけど、デザインをするにあたりホテルの運営について知る必要があって、チームからインテリアデザインやブランディングも徐々に頼まれるようになって。全くインテリアの知識もないし、本当に事故よね()。たくさんミスもしている。でも、今取り組んでいる京都のプロジェクトでは、友人2人と一緒に部屋のテーマを『和菓子としたインテリアデザインに取り組んている」

interior and wagashi

少ない人数から成るチームだからこそ、一人一人の仕事の責任は大きい。そんな状況の中、バックグラウンドも持たない新しい仕事領域にチャレンジしていく彼女に不安は抱かないのか。

Erina「怖いといえば怖い。色々なリスクもある。でも、幸運なことに色々なテストができるし、自分のセンスを信じながら正しいか否かの選択をし、インテリアデザインの自信も徐々に付いてきている。予算管理もしていたり、本当に参ってしまうこともある()。けれど、今の会社で働けてることに感謝をしている。毎日たくさんの新しいことを学んでいる気分よ」

会社自体は、とてもフレキシブルな環境だと彼女は言う。働く場所や時間、休暇も自由であるそうだ。

Erina「朝は家でメールをしたり、スカイプでミーティングをして、みどり荘にはだいたい11時くらいに着く。会社には特にこれといったルールがないの。自分自身をコントロールすることにもだいぶ慣れたわ。なんせ今まで1人で働いてる時間が多かったでしょう()。誰に言われるわけでもなく。今の会社も小さいから、みんな自分の仕事は自分でする。誰も「あれは終わったか?」とは聞かない。だから、タスクやTODO、予定を自分自身で、コントロールすることが問われる。今の会社でさらに学んでいる」

Erina「将来的に誰かデザイナーを雇うならば、『自分の下で働く』ではなく、『私と一緒に働く』という感覚を持つ、インディペンデントな人と働きたい」

自由な環境に身を投じることで、人は働く上で、生きていく上で自分自身のリズムが一体何なのか向き合わざるをえない。彼女はインディペンデントであり、自分自身をコントロールし、バランスに重きを置いている。

Erina「仕事もそうだけれど、それ以上にバランスが大切。それが私にとっての秘訣。週末に仕事は持ち込まないし、遅くまで働かないようにしている。」

ErinaArthyの頃は、たくさん働いて、今思うと健康的ではなかった。何事もバランスが大切。人生は仕事だけじゃない。旅に出かけて何かに感化されたり、リラックスしたり。友達と会って飲むことも。家族との時間も同じ。」

interaction

最後にみどり荘について

「とても気に入っている。デザイナーや他の分野のプロフェッショナルがいて、いろんな人のアイディアや何をしているのかを聞いたり。ここで働けてうれしい。やっぱりコミュニティは大切」



Erina Ho

日本生まれ、ベトナム育ち。学生時代はインターナショナルスクールへ。日々の生活には、ベトナム語ではなく英語が飛び交っていた。ニューヨークのParson大学にて4年間デザインを学ぶ。卒業後は世界中のギャラリーや美術館のコレクション、アートフェアなどの展示作品をオンライン上で閲覧・購入可能なサービスを提供する「Artsy」初期メンバーになる。そこで、UI / UXのデザイナーとして1年間働いた。


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