COLUMN #42 and think here

大学3年生の春休み。上っ面の共感で成り立つコミュニケーションに心底疲れていた時期だった。感情、体力、精神、自身のいろんなものが消費される感覚。他者と同化してしまいそうで気持ち悪くなって、そっと人から離れた。個が個で在ることを強く望んだ。多分無意識の反抗だった。すると他者とバランスが取れなくなって大学に行けなくなった。
学校という枠組みの外に出てて、世の大人たちと会うようになったのはそこからだった。ちょうど世の中は就職活動シーズンだったが、私は就活そっちのけで毎晩酒場に足を踏み入れては、友達と呼べるような大人たちと議論を楽しむようになって、いつの間にか大学を休学して不動産の会社にジョインしていた。
当時の自分は、新しい人や価値観に出会うことだけで楽しかったし、何か違和感を感じているものの正体や自分が信じているものを肯定されたかっただけなような気もするけれど、その出会いや経験によって、「自分は自分」「人は人」と、思えるようになった。共に尊重するためにどうしたら良いかを考えるようになり、「違う」ことの価値も知った。またそれをどう繋ぐかデザイン出来ることの重要さを知り、場づくりやコミュニケーションの術を身につけようとしてきたような気がする。
これまで、何か違和感やノイズを感じてもノーと言えなかった自分は、社会や他者が前提を作るものであり、その前提を作っても良いという事に考えも及ばなかった。けれど、そうやって心に素直に行動し続けたいま、私の前には、世の前提を作り出している新しい生き方や働き方をしている先輩たちが力強く走っている。その背中を追いかけるように、私自身これからの未来の生き方を体現していきたいと思っている。
丁寧に思い出してみれば、大学を休学して会社に入ったときも、新卒切符を手放したときも、大きな決断だと思うものこそ、心から湧き上がる衝動を頼りに選択してきた。そして、小さな決断こそ日々の自分の選択を構成するものの積み重ねとして、丁寧に自分の心に向き合い選んできた。そしたら、いつの間にか自分でも気がつかないうちに何が始まっていて、その度その環境で必死にもがきながらも、時にワクワクした気持ちで胸をいっぱいにして生きている自分がいる。
そうやって、予想していなかった未来が広がっていくこの人生は、結構面白い方向に向かっている。
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