COLUMN #93 Memories of Rainy Season (Correction)
Topic: Column / Written by Hitomi Shibuya /
2023/6/16

Memories of rainy season
深呼吸を一つ。
そして感じる、ああ、梅雨の季節がやってきたんだと。
この時期が来ると、私の心は自然とある特定の光景や感覚を引き寄せる。
最初に思い出すのは、雨が滴り落ちる幼稚園の軒先で小さな私が母を待つ時間。
雨粒が地面に打ちつける音、濡れたアスファルトの匂い、そして何より母の到着を待つあのワクワク感。これら全ては今でも心の中で生き続けている。彼女の姿が見えると、まるで晴れ間が見えたような安堵感。これらのさまざまな感情が、梅雨の季節には鮮やかに甦る。
雨に濡れた庭で見つけたかたつむりも思い出す。
あの透明な殻と、細長い触角、少し恐怖を感じながらも、その動きに目を奪われていた。最近は見かけなくなったけど、きっとそれは視点が変わったからだろう。私たち大人は高い所から物事を見下ろすことが多い。
意識して足元を見てみる。
かつての子どもの頃の視点に戻って、見つかるものがあるかもしれない。
大人になった今、梅雨はまた新しい思い出を呼び起こしてくれる。特に印象的なのは台湾旅行で感じた湿度だ。それは新しい体験や異文化との出会いを思い起こさせてくれる。湿度を感じるたび、記憶の中の台湾が鮮やかに蘇り、ワクワクと心踊る。街の色、人々の笑顔、美味しかった料理。あの時の全てが思い起こされる。
年齢とともに経験は増え、季節と思い出は一緒に成長していく。かつては不快だと思っていた梅雨も、これらの経験を通じて楽しい思い出が蘇る季節に変わった。
これからも私は季節と共に、日々新しい経験を積んでいくことだろう。そしてそれらの思い出が、未来に思わぬ贈り物をもたらしてくれるかもしれない。
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