COLUMN #85 nonsense

Topic: ColumnWritten by Naohiro Kiyota
2023/4/14
nonsense

働くとは? 生きるとは? 愚問!!

自然の中で暮らしていると、働くとは何か? 生きるとは何か? について常に考えさせられます。いま季節は「清明」。冬の間は枯れ木のようだった山の広葉樹たちが一気に芽吹き始め、地表を緑が覆い始め、山里が色とりどりの緑に包まれ、風景が一年で一番清く明らかな時期です。自然は季節の中で循環していて、その時々に姿を変えます。生き物には全て役割があり、大きな自然の循環の中でそれぞれが繋がり「働いて」います。働くということは、それぞれがそれぞれの持ち場で「機能する」ことだと、最近考えています。だから、働くことは生きることであり、生きることは働くことです。生きているから働ける、働いてるから生きることができる。ウロボロスような円環構造が、働くことと生きること、だと思います。

しかし多くの人は「働くこと=お金を稼ぐこと」になっていて、生きることを見失っているようにも見えます。本当はお金を稼ぐことは、働くことと生きること、の一部でしかありません。僕も7年前までは都心に住んでいましたが、都市の生活は「生きる」ための多くの仕事をアウトソーシングすることで成立しています。そしてその費用を賄うためにお金を稼ぐ必要が出てくる。快適な住環境を求めるほど家賃は高くなり、空気清浄機、エアコン、それらを動かすための電気代、子供の相手ができない時はシッターさんを雇い、自然体験をさせるにもお金がかかるし、出どころがはっきりとした安心安全な食べ物を得るにもお金がかかるし、自分で料理をする時間も取れないので外食費もかかる。本当はそれらは全て「生きる」ための仕事で、本当は自分がやるべき「働き」を外注しているわけです。そしてその外注費を稼ぐために、ますます「働くと生きる」から遠ざかってしまう。

一方で、田舎に行けばスローライフを送れると思っている人も多いですが、そんなことはありません。今まで外注していた仕事、つまり自然環境や地域社会の円環の一部を担う「働き」が、本来の意味での「生きるための仕事」が一気に自分に返ってきます。超忙しいです、ほとんどお金にならないし。。 でもその分、都市の人たちがお金で得ようとしたら高くなるだろうなあ、という報酬や喜びを得ることができます。おいしい空気、きれいな水、美しい景観、抜群の子育て環境、旬の恵み。今は山中で山菜が採れる時期ですが、庭になってるタラノメなんて、都心で食べようとしたらいくらかかるのか。アク抜き不要の採れたての美味しいタケノコも絶対に食べられない。

都会と田舎、どっちのライフスタイルを選んでもよいと思います、自分に合っていて、納得して、心からエンジョイできているならば、そこに優劣はない。でも、ちゃんとお金を稼いでるのに、生きているように見えない人が多すぎやしませんか? 仕事をやめたら社会や環境から繋がりを失って、働けなくなってしまった人たちもいます。いまFIREを目指す人たちが多いと聞きますが、「働く」こと「生きる」ことまでやめたら、人間ではなくなってしまいますよ。この問題は都市でも田舎でも同じです。ダサい金持ちは全然うらやましくない!

ただ、「MBAと漁師」という有名な寓話がありますが、僕自身は漁師の方にシンパシーを感じるし、みんながMBAを目指す必要もないし、今風にいうと漁師の方がウェルビーイングなのでは。そして、僕が檜原村のVillageでやりたいことは、東京の大自然の中で「働くこと」と「生きること」を取り戻すための環境や機会をつくることです。その実現のために、皆さんから「お金」をいただきます! さあ、Villageに集まれ!

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