COLUMN #82 DON’T STOP THE MUSIC

Topic: ColumnWritten by shunwakui
2023/3/24
DON’T STOP THE MUSIC

この春に読んだ「ハウス・ミュージック──その真実の物語」という本を紹介したいと思う。

ハウスミュージックはいったいどこから来てどのように発展して現在に至るのか?
この本では1970-80年頃のハウスミュージック認知初期段階の扱いなどが描かれており、現代のDJの姿とは大きく違っていた。

現代ではひとつの職業にもなっているDJだが、当時はDJを聴きに行くといった感覚はなく誰の目にも留まる事のない程度の存在であり、DJ=バーのスタッフが片手間で清掃をするくらいの業務感であったそうだ。コミュニティオーガナイザーという職業も同じようにどんな仕事もひとつの職業として広く認知されるには幾分と時間がかかるものだ。

ハウスミュージックはシカゴのゲイクラブで流れていたディスコミュージックが源流となっている。そこに集まる人々は自由に身体を揺らし踊っていたそう。筆者はそこでの体験をベースに今のハウスミュージックのスタイルを作り上げたそうだ。

書中に出てくる筆者のハウスミュージックを「教化する」と言った言葉の使い方が独特だと感じた。4小節で構成されるハウスミュージックは、一聞単調だがミニマルな抑揚やヴォーカルは少なからず陶酔感を覚えるしそのリズムが身に染みてくる。それは日本でいうならばお経のようなものかもしれない。

「私がパイオニアである」という言い回しが多用されており少々もたれるが、彼のハウスミュージックを広めたいという行動と音楽家としてひとつの事を探求していく姿勢はとても情熱的にみえた。

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書籍
ハウス・ミュージック──その真実の物語
ジェシー・サンダース

book

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