COLUMN #79 blank space

Topic: ColumnWritten by Masatoshi Sawa
2023/3/3
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昭和の人間国宝に、陶芸家の濱田庄司という方がいます。彼は大皿の釉掛け(コーティング)を、ものの15秒ほどで仕上げてしまうので、見ていた人が物足りないのでは?と聞いたところ「これを習得するのに60年かかっているので、15秒と60年の時間がかかっているのです。」と答えたそう。経験と技術の研鑽の全てが、この言葉に詰まっているように思います。職人技術に誇りを持つ日本人は、同じ仕事を続け技術を磨いている人に少なからず憧れを持っている人も多いと思います。工芸が大好きな私は大好物です。

技術の向上ということだけで見れば研鑽は、良いものが生まれることに繋がりますが、やや広い視野で見ると良し悪し関係なく無駄を省くことにつながり、時には趣を無視して効率(時間とお金)のみに走ってしまうことがあるかもしれません。

話を少々置き換えると、「スマートフォン、メール、SNS、メタヴァース、、、」など、コミュニケーションはここ30年で大きく進化を遂げています。僕がまだ中学生ぐらいの頃は携帯電話がほとんど普及されておらず、好きな子に電話するのでさえ一筋縄ではいかず、「〇〇ちゃんいますか?」と相手の家族を通して連絡をしていました。時にはお父さんが出る事もある為その時間は思春期男子の精神面を鍛える良い機会だったのかもしれません。そんな不便だった事でさえ今ではコミュニケーションが生まれるキッカケだったように思います。

また、大きな会社に属していてもメールやチャットを活用して、いち部署の中でコミュニティが完結しまい、周りに人が多くてもコミュニケーションはごく一部として取れていない。そんなことが多々あると思います。そうなってくると「効率だけを求めるのはどうなのだろうか、、、。」そんな風に思ったりします。コミュニケーションがソリッドになっている今だからこそ、余白が必要となりその余白に何を置くかが重要なのかもしれません。

MIDORI.soにいると和気藹々とした、ワークスペースとは思えないような温かい時間があります。しかしその時間でメンバーは色々な会話の中から情報を吸収したり、興味のあるメンバーと積極的に繋がっていったりと、ラフでカジュアルなMIDORI.soの雰囲気の中にも、ビジネスを感じる瞬間がいくつもあります。国籍や業種、趣味嗜好によって、会話の何処に引っ掛かりがあって、何に注視するかの違いが顕著に現れ交差する。MIDORI.soの面白さはそこに詰まっているのではないかと僕は思います。もし、「シャイ」が理由で交流したくても出来ていないメンバーがいれば、ぜひ色々な拠点のランチ会に参加して、自分なりの余白の埋め方を見つけて欲しいです。

私は正直、研鑽とは程遠い仕事の経歴しかないです。ただ人より無駄をたくさん抱え、よく喋る事には長けています。MIDORI.soにいれば「ソレ」も余白の要素のひとつになり、メンバーのコミュニケーションのキッカケになるのではと思えます。

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