COLUMN #78 catch the wave

Topic: ColumnWritten by Yuko Nakayama
2023/2/24
catch the wave

刺激が欲しい。どうしたら「新しい」情報を得られるんだろうか。テレビを観るか、本や雑誌を読むか、ウェブメディアのニュースや記事に目を通すか、流行りの人々のSNSを覗くか。手段は数多くあり、情報は溢れ、まるで魚の群れに漠然と手を伸ばすような感覚に陥っていた頃がある。正直、それらを追いかけることにうんざりしていた。何をどう選択することで、自分の感覚と共鳴する、ワクワクする、刺激的な情報と出会えるんだろうか。大海原の魚群の中を私は泳ぎ彷徨っている気分にときどきなっていた。

その感覚は、MIDORI.soで働き始めて数年経ってから薄れていった気がする。世間話から始まる、最近面白いと思ったデザインは?ビジネスは?映画は?音楽は?アニメは?本は?アプリは?街は?お店は?たわいもないコミュニケーションのキャッチボールを繰り返していくうちに、情報は追いかけなくても向こうからどんどんとやってくる。手元を見ればたくさんの新しいカードが揃っている。家に帰る途中に、風呂の中で、布団の中で、休日の空いた時間などに、それらを享受することが己の刺激となり、自らが更新されていく感覚になる。新しい情報が得られるサイクルに身を置いてることが、ただただ面白い。何よりスピード感とボリュームがちょうど心地いい。

巷の流行り話だけでなく、自分の好奇心に基づき、何が好きで、興味があって、面白いかを日々キャッチしてる人と話していると、時代を先駆けた真新しい情報でなくても、その人の主観によって得られた情報は時代性にとらわれない「新しさ」があるということに気づく。「最近見つけた音楽なんだけど、それが50年前のもので、でもめっちゃこだわりのある音の作り方をしているから聞いてみてよ!」と話す目はキラキラしている。こういった輝きは、人間としての一種の深みであり、癖であり、キャラクターであり、愛らしさでもある。私はそんな人々に囲まれていること自体が、そもそもの刺激なんだとも思っている。同じ人と話してるから飽きるのではなく、いつも同じことを話しているから飽きていき、マンネリ化していく。けれども、MIDORI.soにいる人々は、日々仕事をしながらも、新しいヒトやモノ、コトに出会い、己を更新している。そんな循環を繰り返している人々が日々ラウンジで会話をする。留まることのしらない新陳代謝が活発な人々が集う生命体のようなもの、それがMIDORI.soなのかもしれない。

MIDORI.so Newsletter: