COLUMN #77 gathering

Topic: ColumnWritten by tamaki nishimura
2023/2/17
gathering

今、歴史や文化価値のある建物や自然環境豊かな地域をみんなで守っていく、事業の立ち上げに取り組んでいる。先月はMIDORI.soのメンバーでもあるシェアウィングさんが手掛ける事業の「お寺ステイ」の拠点の一つ、高山善光寺へ訪れた。

飛騨高山は、毎年たくさんの海外からの旅行者が集まる。その数、年間約50万人。この数は、日本一の観光客数を誇る箱根と同じだそうだ。全体の年間観光客数は箱根は450万人だが、飛騨高山は200万人。どれほど海外からの観光客が多いかが分かる。

着いて街を散策してすぐにその魅力がわかった。京都にも住んでいたことがある私だが、比にならない程、街を美しいと感じた。「古い町並」と呼ばれる、木造建築がずっと続く一帯があるのだが、全体のデザインや色が統一されていて美しく、武士の時代にタイムスリップしたかのような感覚になる。全国で1番面積が広い市は、岐阜県の高山市だと聞いた。その面積、東京都と同じ面積。うち9割は森林だそうで、それは良い材木が集まるはずだ。

通りを進む中で「美術民芸館」と看板がついた古民家が目に入った。営業時間内のはずなのに、扉が開いていない。向かいのお土産屋の店主に話を聞くと「固定資産税の支払いが厳しくて、土地を手放すそうだ。取り壊してお土産屋にすると聞いた」とのこと。

今、Netflixで配信されている「舞妓さんちのまかないさん」の台所のモデルになっている「錺屋(かざりや)」という京町家の宿泊所も今やコインパーキングになってしまった話が23年前にあった。

伝統や文化は美しい。人の一生をかけても築き上げることができない複雑な豊かさや美しさがある。それらが一人の判断で取り壊されてしまっていいものか。みんなで守りきれないものだろうか。
(もし皆様の周りでそのような守るべき建物、自然保全区などあれば、ぜひ私に教えて下さい!)

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