COLUMN #69 dream comes true

Written by yoshitaka shimura
2022/12/2
dream comes true

前号のつづき

志村不動産です。今回がエピソード3です。つらつらとMIDORI.soメンバーになるまでを書こうと思っていて、でも読んでくれてる人がいたなら、本当に感謝です。会うことがあったらちゃんと「ありがとう!」を言いたい。

さて、イケメン社長が言うには市場は過渡期に入り競合他社が増えた。なので、差をつけるために若手アーティストやデザイナーが集まるリアルな場所をつくりたいということだった。僕はその話を聞いてすぐ想像できた。原宿にカフェをつくる。余談だが神宮前には祖父母の家があったので思い入れがある。店舗デザインは、あのジェフ・マクフェトリッジに依頼する。とはいえ、英語もできないので父に助けを求めた。そして、アプローチは当時PR会社にいた山崎清太郎と相談しながら進めた。Champion Graphics宛に僕はたどたどしいメールをした。「面白そうだ!」と、あっさり返事が来た。社長に予算を聞き、物件候補を探して、詳細を考え、父が翻訳して、提案書をつくった。そして、メールした。

ジェフ・マクフェトリッジは僕のプランにのった!

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場所は神宮前3丁目の明治通り沿い、周囲をビームスに囲まれたエリアだ。僕は28歳だった。あなたの壁紙を使いたいとジェフに伝えた。そしたらコルクにシルクでクジラのテキスタイルをプリントするから、それを壁一面に貼ってほしいと言ってきた。加えて、ソファにも同様のテキスタイルをリネン生地にシルクプリントするからそれを使うように提案された。彼は天然素材にこだわっていた。僕が好きな雪男柄の壁紙をトイレに使用したいと要望したところ、彼は快諾した。そして、コースター、紙ナプキンなどに使うためのデータをメールしてくれた。店名は「Sushine Studio Cafe」だ。彼が考えたロゴもあった。

ジェフ・マクフェトリッジのパスデータを自分のラップトップで観てる、夢か!

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お店がオープンすると、いろんな人が集まってきた。Gas As Interfaceの津田さんや西野さんとも知り合い、彼らはGenevieve Gaucklerを連れてきたことがあった。近くでギャラリー兼バーをやっていた3人組の1人が清田だ。彼は僕が北参道のオフィスを不在にしているときでも、よくソファでくつろいでいた。帰社すると「あの人、来てますよ」と同僚に言われた。それは現在のMIDORI.soと同じ光景だ。その近くで仲間と一緒にオフィスをシェアしていたのがYOSHIROTTENだ。僕は時間が空くとよく遊びに行った。友人の紹介でかえる先生と会った。渋谷TSUTAYAの最上階で待ち合わせをした。あんにゅいではっきりしない白くて細い男が来た。その後、かえる先生のケーキをつくって、お店で出すことになった。

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彼の紹介で大西くんに会った、毎度、夜な夜な来てくれては、店長の山口が「勝手にやってくれ~」と空のグラスと一升瓶を彼の前に置く。ビームスTの濱田さんは、和やかなイケメンでサーファーだ。お店のロゴをTシャツにしてくれて、販売してくれた、自分がつくったお店がTシャツになってビームスTをくるくる周る。すごい!と思った。近所だったbonoboのイベントでは暴力温泉芸者の中原昌也さんが演奏しに来た。高校生の頃に買ったレコードにサインをもらえた。

気が付くと、毎晩のように、仲間と自転車で東京を徘徊し、あちこち呑み歩いた。僕は徐々にお酒が呑めるようになった。レセプションやオープニングがあると、とりあえず顔を出した。ある日、濱田さんから呼び出された、行ってみると、花井くんだ。長期で日本に来ていたJesse LeDouxとのグループ展をする場所を探していた。Jesseはシアトルから来ていて、元SUBPOPのアートディレクターだ。マジか!と驚いた。レセプションではChocolat & Akitoが演奏してくれた。あの、GREAT3の明人さんが店内で演奏してくれたのにはさすがに感動した。そして、ジョージ・カックルさんもいた。花井くんは笑顔で英語が喋れた、僕は笑顔も英語もできなかった。でも、もし英語だけでもできたなら、もっとすごいことが僕を待っていると思った。ジェフともあれこれ話して、もっともっとすごいことができたらと期待した。

そうだ、アメリカに行こう!

つづく

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