COLUMN #64 being a fan

Written by Saburo Tanaka
2022/11/4
being a fan

2022年のプロ野球はオリックス・バファローズの26年ぶりの日本一で幕を閉じた。引き分けを挟んで第7戦までもつれた歴史的大接戦の日本シリーズをいち野球ファンとして楽しく拝見し、胸を熱くさせた。やっぱり野球はおもしろい。

僕が贔屓にしている球団は今シーズン3位に沈んだ阪神タイガースである(ベタでハズいが)。しばしばファンになったきっかけや好きな理由を尋ねられるが、これが返答に困るのだ。確かに阪神戦を中継するためだけに存在しているといっていいおもしろローカル放送局サンテレビが映る地域で育ち、六甲おろしを子守唄代わりに聞かされ、おそらく物心がつく以前からタイガースには触れていた。幼少期初めて喋った言葉が「ママ」、その次が「バース」だった可能性もある。だが、明確なきっかけや好きな理由は存在しないように思う。阪神内に好きな選手はこれまでにいたが、他チームにより好きな選手も数多く存在するし、12球団中11番目に日本一から遠ざかっていることからわかるように、ファンとして最高の喜びである勝つという事とも縁遠い球団なのだ。昨年は春の時点で独走していたものの、夏頃から浜風に押し戻された右中間へのフライのように急激に失速して優勝を逃し、今年は豊富な戦力を誇りながら歴史的なスタート足踏みをキメ、3位に甘んじた。挙句、お家騒動の末、個人的にあまりいい印象を抱いていない岡田彰布氏が新監督に就任した。なんじゃこら。いいところが全然ない。それでも来年も僕は文句を言いながら仕事が終わるや否やDAZNに接続するのだろう(サンテレビ映らんから)。やっぱり阪神が好きなのだ。何でか知らんけど。

以前、特定のスポーツチームのファンになる感覚がわからないという知人から意地悪な質問をされた。例えば阪神の選手とジャイアンツの選手が半分入れ替わったとしても阪神ファンなのか、と。無論阪神ファンである。何なら、選手全員が入れ替わっても、縦縞が横縞になっても、阪神がサッカーチームになっても、新進気鋭のパントマイム集団になっても僕は阪神ファンである。僕は阪神タイガースの中の何かではなく、阪神タイガースが好きなのだ。

これをMIDORI.soに置き換えてみるとどうなるだろうと月を見ながら想像してみる。MIDORI.soが新進気鋭のパントマイム集団になっても好きでいる人はどれくらいいるのだろうかと。

秋は夜が長い。

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