COLUMN #235 「たばこ」と誰に言ったのか

Topic: ColumnWritten by miya yamamoto
2026/5/29
235

14時を過ぎたコンビニだった。

近頃のコンビニはだいぶセルフレジが多い。

まばらな客に対して店員は、昼のラッシュで乱れた棚や欠品した商品を補充していた。


(ここのコンビニはホットスナックのコーナーもセルフなんだな)


そう思って何を買おうか迷っていたら、レジの前に立つ男性から「たばこ」と少し大きめな声が聞こえた。「お待たせしました」と小走りでレジへ向かう店員。


よく見る光景。だけどおかしな光景。


家父長制の省略的振る舞いなのかもしれないし、単なる慣れ的なものなのかもしれないし、やっぱり「お客様は神様です」という昭和のフレーズでいつの間にか肥大化されたお客様像なのかもしれない。

けど、もしかしたら。

……疲れているからではないだろうか。


そうだ、私も「いらっしゃいませ」の挨拶に目を合わせて「こんにちは」と返していない。

「レジ袋は要りますか?」に、ヘッドフォンを少しずらして「結構です」とお伝えし「クレジットカードで」と言ってヘッドフォンを耳に戻す。最後に少しばかり「ありがとうございました」とだけ伝えて、それが聞こえていたのかさえわからないけど足早に去る。


「たばこ」

怒鳴っているようにも聞こえた。

でももしかしたら、疲れて人に配慮できない状態だったようにも思えてくる。


この世は疲れすぎている。


それは言い過ぎかもしれないが、どんなに好きなことをやっていても人は疲れる。

うまくリフレッシュできる人もいるかもしれないが、自分の疲労に気づかず、家にも会社にも持ち帰れなくて、疲労が都市にポツポツと転がっている気もしなくはない。


そしたらさ、支え合うなんて互いが影響し合うことじゃなくてさ、応援するってどうだろうか。
応援した結果なんて知らない関係性だからこそ、届けてもいいような気がする。


無関係な人が応援し、関係する人が手を繋ぐ社会。


それが疲労の落ちた14時のコンビニで感じたことだった。

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