COLUMN #193 中央線東京行き11号車
Topic: Column / Written by sanae namiki /
2025/7/11

私は平日の朝、出勤のために中央線 東京行きに乗る。日々のルーティンの一部だ。
朝8時台の中央線は当然のように満員電車だけれど、私はこの電車に乗ることを楽しみにしている。
11号車の車窓から見える景色が好きだからだ。
四ツ谷駅を過ぎたあたりから、窓の向こうに川が流れはじめる。
川岸の向こう側にはさまざまな建物が立ち並ぶ。看板や建物の形、色、並び、一つひとつに目を向けると、街の小さな何かを発見したようなワクワクした気持ちになる。
「こんなお店があるんだ」「あの看板ちょっと変わってるな」「ここ、住めるんだ」
勝手に親しみを感じながら、風景を楽しんでいる。
なかでも、私がいちばん好きなのが御茶ノ水だ。
東京方面行きの11号車から見える御茶ノ水の景観は、とても心地よく飽きることがない。
橋の上を忙しそうに渡る人たちがいる一方、その下では静かに川が流れ、青々とした葉っぱが風に揺れている。静と動が同居するこの風景には、都会の中とは思えないような、やさしく穏やかな空気が流れている。
私の心が元気な日も、ザワザワしている日も、この御茶ノ水の風景は変わらずそこにあり、私の心を落ち着かせてくれる。自然と肩の力が抜けて、深呼吸ができる。「そのままの自分でいい」と許しを得て、一本芯が通ったような気持ちになる。
御茶ノ水のオアシスはいつも穏やかで優しく、私に安心感を与えてくれるのだ。
ありがとう、御茶ノ水。
今日もあなたのおかげで心が落ち着きました。
また一日を始めることができそうです。
では、今日も行ってきます。
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