COLUMN #152 iPhoneを卒業した日

スマートフォンを初めて持ったのはiPhone3G。2008年から始まったiPhone歴はもう15年以上になる。これまで手持ちのデバイスはすべてApple製品だったが、この夏、思い切ってAndroidに変えた。これはささやかながら自分への挑戦なのだ。
数ヶ月前、わたしが持っていたiPhone14がポケットから滑り落ち建物2階から落下。画面はバキバキになり、Wi-FiもBluetoothも繋がらなくなった。サイズも、性能も私にとってはぴったりで、これ以上のアップデートを望んでいるわけでもなく、心中する勢いで共に生活をしようと決めたお気に入りの機種だったのに。
価格の高騰と、スマートフォンへの期待感の薄れから、最新機種への購買意欲はゼロ。それに、この春公開されたiPad ProのCMはなにか心にモヤッとひっかかるものがあった。「Crush!」というタイトルで、すべてのものをプレスして、それがiPadになるというストーリー。ギターもピアノもアートもすべて潰されていくその姿は「破壊と創造」そのものだったけれど、私の中のcoolとは少し違ったものだった。Appleの製品を否定するのではない。単に自分がカスタマーとしてはまらなくなってしまったのだと思う。
iPhoneを中古で買うという選択肢はもちろんあったが、調べていたら『Nothing』という、ロンドンのメーカーが目に止まった。“We’re building a world where tech is fun again”というコンセプトで、とにかく自分たちのかっこいいを追求したいという思いが、デザインにも価格にも現れているようにみえた。
正直、Androidを使いこなすのはなかなか難しい。ずっとiPhoneと一緒に生活を共にしていた私にとって、キーパットの違い、ちょっとした検索の違い、コマンドの違いは小さなストレスを感じる。でも、こうしたことに柔軟になれる自分でありたいとも思う。
自分にあう、いいものはなんだろう。
自分の生活と、感性を照らし合わせて、最適解をみつけていきたい。
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