COLUMN #127 伊勢と厄祓いとわたし

Topic: ColumnWritten by Hitomi Shibuya
2024/3/1
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今年もまた伊勢を訪れた。


伊勢参り、それは私にとって一年に一度の恒例行事となっている。この習慣が始まったのは30代にさしかかる頃、友人に「仁美ってなんか厄が強そう...」と言われたことがきっかけだった。


「強そうな厄には、最強の神社を」というわけで、それまで初詣すらろくに行ったことがなかった私が選んだ神社は伊勢神社。言わずと知れた日本最強のパワースポットである。私が「伊勢で厄払いする」と言い出すと、同じく厄に見舞われそうな友人たちが我も我もと言い出し、気づけば数人で一緒に行くことに。それからというもの、毎年集まっては伊勢を訪れるようになった。江戸時代には大ブームとなり、老若男女、犬までもが出かけたお伊勢参り。


伊勢に着くと、まずはその神聖な空気に圧倒された。巨大な木々、さざめく風、そして何よりも、パワースポットの効果か、普段は何とも思わない私が、マイナスイオンをビシビシ感じるのだから不思議なものだ。


そして、伊勢神宮までの道のりにある「おかげ横丁」がまた楽しい。赤福に始まり、伊勢うどん、チーズ棒、手こね寿司と、半日で食べに食べまくる。おかげ横丁で食べたものが消化しないうちに、夜は地元の居酒屋「虎丸」で、その日に釣った新鮮な魚を堪能する。そして三重の日本酒を。もう、飲むと止まらない。でも、私たちはさほど乱れることなく楽しめるのが自慢だ。


翌朝は、伊勢市駅近くの「カフェ ビアンカ」でフレンチトーストを食べるのも恒例。朝食後は、もう一度神宮に足を運び、おかげ横丁でちょっとしたお土産を買って、15時の電車で東京へ帰る。毎年、ほぼ同じスケジュールだけど、それがいい。変わることなく続けられるこの行事が、私たちにとっては特別な意味を持っている。


何年か前、境内の池を眺めながら「もしカモに生まれ変わったら、この池に集まろう」と話したことがある。この階段いつまで登れるかな、と笑いながら外宮の階段を登る。そのうち本当に登れなくなるんだろうが、その時が来るのも少し楽しみにしている。

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