COLUMN #104 人間という動物

私は今年の1月、第一子を出産した。先輩母たちに出産の痛みなんて我が子の可愛さで吹っ飛ぶよと言われたが、ちゃんと痛かったし、ちっとも可愛く思えなかった。初めて彼を見て思ったことは、”なんてすごい動物だ”ということ。

約10ヶ月お腹の中で臍の緒を通じて栄養をとっていた彼が、お腹から引っ張り出されて2時間もしないうちに誰にも教えていないのにも関わらず、お乳を吸って栄養補給をした。目や耳も発達しておらずコミュニケーションも取れない彼は生まれもった潜在能力を使い必死に生きようとしていた。

Netflixの「赤ちゃんを科学する」で赤ちゃんは動物をフォルダ分けせず全て同じように認識していると言っていた。例えば”猿”と大きく認識するのではなく猿一体一体の顔の違いを認識しているらしい。知識を持たなくても敵を認識するためだ。

また、いつか聞いたラジオでは睡眠専門家が赤ちゃんの睡眠の8割は夢を見ていると言っていた。なぜ人は夢をみるのかというと、今日見たこと知ったこと感じたことを整理するために見ているそうだ。逆を言うと新しい刺激に出会わない限り夢は見ないと言う。恥ずかしながら最近私は夢を見ていない、、、。赤ちゃんは毎日考えられない量の刺激や発見を繰り返している。たくさん寝て夢をみることで情報を整理し自らをアップデートするのだ。

人間がもつ潜在能力は計り知れない。だが面白いことに、これらの能力のほとんどは1歳になる頃には消えてしまう。そこからは自らの力でコミュニケーションをとり、見て、感じて、考える。生きるということに集中する動物的な能力から人格を形成するフェーズに入っていく。

これから少しずつ人間になっていく彼を見届けられることを楽しみにしている。