COLUMN #26 circle of friends

2014年、当時インターンをしていた編プロからのお届け物を届けにMIDORI.so中目黒を訪れ、ギャラリーで苔を踏ませてもらった衝撃以来、私はこの場所に戻ってくることを隠れた目標としていました。
以後渡英、帰国後の2018年8月にようやくMIDORI.soのメンバーになってからは自分のキャリアや私生活と切っても切れない人と場所に巡り逢え、東京に魅力を感じずロンドンに帰りたがっていた当時の私の視点が変わった一番の理由にもなりました。
空が明るくなるまでの仕事、自然発生する飲み会、屋上での休憩、5時の菅刈小学校のチャイム、タバコを吸っていると見える坂から降りてくるメンバー、ヨハンのチーズケーキ、仕事の相談やみんなの恋愛事情、同世代もそうでない人もみんな毎日同じ場所で顔を合わせる。そんな絵に描いたような最高の環境が整っていました。ただ、私自身は20代後半特有のクオータークライシス真っ只中にいて、なぜ満たされないのかを考え続けた3年半でもありました。
時間はあっという間に過ぎて、ビクビクしながらも去年独立して一人で仕事をするようになり、少しずつ物事がクリアになってきたように感じます。自分が何者なのかはきっと何歳になっても分からないし、答えは出ません。ただ30歳になった今考えているのは孤独の必要性でした。
過去の自分は、会社や組織・コミュニティの中で自分の理想像を達成することを目指していて、頂く仕事をどう達成するかで頭がいっぱいで、思考や問題解決の矢印が外に向いていたような気がします。他者に解決を求めるとうまくいかないことも多々あり、毎日オフィスで会うことの出来る友達と楽しく話して過ごし、今思うと寂しさを紛らわせていたのかもしれません。
自分を信じて進むしかないとフリーランスの世界に飛び込んでからは、目の前の仕事のその先の目標やあるべき姿を独りで考え、思考の矢印を自分に向けてみる楽しさを見つけました。目標が見つかると、会社を辞めて独りになったはずなのに、何故か自然に仲間が集まって来る。独りで歩いていたと思っていたのに気がついたら一緒に走っている。居心地の良さから飛び出して感じた孤独の中でこそ創造的になれることに気付き、さらにその先には孤独の反対が待っていました。
このような考えに至ったのも、他でも無いMIDORI.soの同志たちと過ごしたからで、その中でも去年の夏、中目黒の建物の大家さんである須賀さんとのお別れが発端でした。自分が今受けている恩恵は先人たちが築いてきてくれたものであり、自分もそのような環境を、周りの大切な人や後の世代のために作りたいと新たな目標もできました。
同じ場所にいることやモラトリウムが悪いのではなく、別々の道を孤独に歩んできた私たちが、たまたまこの場所で出会って意気投合し、また別れていくだけのことです。帰ってくるMIDORI.soというホームがあるから、このうちの誰かとはまたどこかで出会って同じ道を歩むこともあるはずです。そんな時のために、荷物は軽く、足取りも軽く、自分の中の孤独を見つめて生きたいと思っています。
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