WE WORK HERE

2016.08.08 発売
¥1,800(税抜) 224ページ

We Work HERE

東京のあたらしい働き方100

月曜の朝、都心へ向かう働く人たちでギュウギュウの通勤電車。ストレス極限状態で張りつめた空気、一触即発。隣の人の肘が当たる、鞄がドアにはさまる、足を踏まれる、舌打ち。ふとしたきっかけで溜まったストレスが爆発して怒鳴り声。どうして東京で働く人たちは、こんなにも楽しくなさそうに見えるのか? 何が僕らをイライラさせているのか?それは満員電車だけが原因ではないような気がします。

もはや東京で働く人にとっては見慣れてしまった風景ですが、ここにいまの「働き方」の問題が表れている気がします。働くことは楽しいことではないのか? 楽しく仕事をしてはいけないのか? 仕事とは金を稼ぐだけのものなのか? いったい誰のために働いているのか? いったい何のために働いているのか? いろんな疑問が湧いてきます。

当たり前に就職活動をして、自己分析と自己アピールを繰り返してようやく会社に入って、上から振ってきた仕事を日々こなしながら、役職アップと給料アップを目指す。二重人格的にワークとライフを切り分けて、仕事で溜まったストレスを移動中のスマホゲームやアフターファイブの飲み屋で解消し、週末はテレビで紹介されていた流行りのお店で買い物をし、食べログ高得点のレストランでおいしい料理を食べ、プライベートライフを満喫することで明日から始まる仕事に備える。

東京で生きる私たちにとってこれが都市の生き方だし、尊いことなのかもしれませんが、本当にこれだけが「生きる」ことであり「働く」ことなのでしょうか? 絶えずバランスを取りながら回し続けるワークとライフの終わりのないサイクル、しかしそのサイクルだけでは回収されない、人間にとって大切な何かが、その歪みや軋みが満員電車の中で悲鳴を上げているように思えるのです。

このような問題意識を背景に、僕たちが働く「みどり荘」の一風変わった仲間たちや、彼らとのつながりで出会った人たち、ワークとライフの区別が曖昧で、ただここで楽しく生きて働いているように見える人たち、「生きる」と「働く」が一緒になったような人たち、そんな100人に「働くとは何か?」という問いをぶつけてまとめたのがこの本です。彼らが語る「働き方」の中に、ひょっとしたら未来の働き方のスタンダードになりえるものがあるかもしれません。

だからといって「働くとは何か?」の答えがこの本に載っているわけではありません。ただ、それぞれの「HERE」に至る100人100通りの道があるだけです。この本の登場人物たちは、読者のロールモデルにはならないし、参考にならないし、参考にしてほしくもない。成功者のノウハウを聞いてそのテクニックを真似をすれば成功への道が開かれるなんて都合のいい話、僕たちには信じられない。働くひとり一人が「働くとは何か?」を考え続けて、行動し続けることで、その人だけの道ができる、そう信じています。

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